setofuumiのblog

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2023年プレイバック 魔界から第3世界へ,Verix777の躍進

白水さんとダベった時の内容を記事化

https://www.twitch.tv/videos/2016023821

Verixの話は終盤の2h13minあたりから

 

2023は2月~3月の各種Finalでの公式大会で、そして過去最大規模となった8月のEvoでも幾人ものチャンピオンが生まれたわけだが、「2023の人」を選ぶならGGSTのVerix777になるのではないかと思う。

Verix777

 

Verixは西アフリカのセネガルのプレイヤー。2023年11月のフランス大会UFA_GGSTで優勝。この大会はAWT認定大会であり、これにより決勝大会への切符を獲得することになった。
また2023は北米大会Evo,Ceotakuへ初参加がかない、どちらも5位を獲得している。

evo


Evo壇上、そして公式公認オープン大会を優勝しての決勝大会権利獲得はいわゆる「アフリカ勢」としては格ゲー史上恐らく初めての快挙だと思われる。
*公式世界大会への代表としての出場だけならばsfv,鉄拳における南アフリカ勢、Evoでの活躍であれば鉄拳コートジボワール勢、KOFのモロッコ勢などは存在している。

 

2023年までの過程

今年の活躍を受けてのインタビューがある(フランス語)。2023年にいたるまでの過程も語られており自動翻訳でも大枠は理解できる。
https://passionversus.fr/posts/interview-verix

このインタビューの通りVerixが頭角を現したのは2021GGSTでの「欧州コミュニティによるEMEA規模のオン大会」から。GGSTは遠距離でのオン対戦が可能である、という認識から中東やVerixのセネガルがある西アフリカ地域も参加可能になったというわけ。ちなみにフランスから直線距離だと中東よりもセネガルの方がちょっとだけ近い。
中東勢は既にGGSTでかなり活躍しているが(Zando,Slash,Ratif)、Verixもその後を追う形で切磋琢磨していた…ということになる。
そして2022はチーム所属、欧州大会への参加(ここで既にtop8入賞)とステップアップして2023年での活躍に繋がっていった。

 

「魔界」から「第3世界」へ

多少強引な例えだが、これまで大会シーンで目立っていたのは「魔界」的地域、鉄拳:ArslanAshのパキスタン、sfv:MenaRDのドミニカといったような、規模的には小さくてローカルだがコミュニティ全体が強力な地域。sfv最終年に話題を席捲したイギリスのEndingWalker、中国のZhenも強力なコミュニティ基盤のある地域に登場した大型新人、という格好だった*1

それと対比すると2023-2024シーズンではもう一段階進んだ「オンラインを前提とした第3世界地域のプレイヤー」が活躍してきているとみることが出来ると思う。
Evoで優勝したLeffenのスウェーデン、AngryBirdの中東は「格ゲー大会シーン・コミュニティ」という意味では基盤はそこまで強くはない地域のプレイヤーである(*この2人はオフ大会におけるベテラン超ウルトラ実績者でフルタイムのプロ、という要素がでかいが)
主要地域である北米やアジアでも「今までの有名・オフラインベースコミュニティ基盤」から強豪が生まれるというよりは「オンラインによってそこに接続しレベルアップ・強豪化していく」というスタイルのプレイヤーがかなり増えていると感じる。
そしてついにVerixのような「アフリカ地域でも欧州コミュニティに接続し、世界上位になる」というケースも出てきているのが2023-2024シーズンの状況と言えるのではないだろうか。
これはもちろんGGST以降ほぼすべてのゲームが遠距離オンラインが可能(と多数の人に認識されている)になったことが大きく、2024以降も続いていく現象なのではないかと思う。

*1:ドミニカとこの2人に関してはかなりオンライン要素も含まれているのだが