今年(去年もだけど)SF6において「2先は短いのではないか?」という主張がたびたび起こったので、大会の2先・3先はどう変化していく(いった)のかを書いていきます。
前置き1
・なるべく辿れるリンクを書いたが正しくない/ふさわしくないリンクがあるかも(正しいものがあれば変更します)
・便宜上「All_3先(予選から全部3先)」「top8_3先(予選2先・top8すべて3先)」「Final_3先(WF,LF,GFの3試合のみ3先)」と表記します。
・「日本の大会は1先シングルが伝統だった」であるとか「オープンでない招待制・長期戦イベントは大会とは別軸でずっとある(Topanagaリーグ、海外大会の金曜エキシビション・マネーマッチなど)」といった視点もあるが今回は割愛。
前置き2と結論
まずもってSF6においてはカプコンCPTルールが予選2先、TOP8決勝3先のダブルエリミネーションというのが公式ルールになっており、前述の主張も主にこれを指して語られることが多いので、これはつまり「公式ルールが3先に変わることはあるのか?」というのが主題であるということにします。
これの結論からいうと「格ゲー大会ルール・公式ルールにおいて"何先"が変更されるケースはある。そしてそれは大会側からのボトムアップで変更されるケースがほとんど」というのが自分の見方になります。
以下SF6においての例と他のゲームでの実例
SF6での3先
まずそもそものところだと「3先のSF6の大規模な大会」自体はまあまあ開催されている。
代表的なものだと欧州圏の大型大会フランスUFA2023では予選含めすべて3先で開催。ただ翌年のUFA2024は公式cptプレミア認定されたためCPTルール(予選2先)となった。
もともと欧州圏はゲーム問わず形式自由な風潮があり、過去のCPT認定でも何度か変則的な予選(3先やグループリーグ方式など)で開催したことがあるが、2024のSF6はそうならずにルール通り開催した格好。
2023UFA https://www.start.gg/tournament/ultimate-fighting-arena-2023/events
2024UFA https://www.start.gg/tournament/ultimate-fighting-arena-2024-3/details
北米ではもっとも知られる3先のものは「定期オンライン大会:TNS(TampaNeverSleeps)」。
2023年9月まで2先 https://www.start.gg/tournament/tns-street-fighter-6-15-crossplay/events
Top96を3先 https://www.start.gg/tournament/tns-street-fighter-6-16-crossplay/events
10月にはALL3先 https://www.start.gg/tournament/tns-street-fighter-6-19-crossplay/events
このTNSは北米上位勢がカジュアルに参加しており、毎週100~200人規模になる巨大オンライン大会。なおTNSはSFだけでなく大会における主要ゲームのほとんどのオン大会を定期開催しているスゴい団体。
一方で元からの「オフの定番・北米・大型大会」はCPT認定されていないが予選2先、top8_3先で開催されている。
ComboBreaker2024 https://www.start.gg/tournament/combo-breaker-2024/event/street-fighter-6
CEO2024 https://www.start.gg/tournament/ceo-2024-6/event/street-fighter-6
ちなみにこの「2先は短い」論はウメハラ切り抜き由来のものがいくつかあるが、ウメハラさん主催の日本オフ大会BeastCupTokyo(シングル戦)ではFinalのみ3先ルールで開催。 https://www.start.gg/tournament/beastcup-tokyo/events
現状の認識としては「2先と3先が混在している状態で、かつ完全3先にするほどには圧力はなく、オンラインオフライン・大会規模・時間などの各々の都合でチョイスされている」といったところかな?という印象。
SF6に関しては現状こんなところ。
以下に他のゲームにおける例
Evoの例。詳細はLiquipediaを参照。
https://liquipedia.net/fighters/Evolution_Championship_Series
過去のSFシリーズはどうなっていたかというと…
2012まで→「GFのみ3先、ほか全て2先」
2013以降→「Top8:3先」
となる。2013年のSF4の時に変わり、以後変わっていない。
2011Evo_SSF4は語り草になった「板ザン号泣」で知られる年だが、この際の「WinnersFinal:ふ~どvsPoongko」は2先だった。
www.youtube.com
なおSF4以前の3rdや他のカプゲー(なんとMvCも)でもこのGFのみ3先形式がずっとスタンダードで、だいたい全部のゲームがこれ(Evo方式・北米大会方式というべきか)
このSF4_2013の変化はいわゆる「CapcomCup」*1の予選認定が始まった年でもありそれの影響もあるのでは?と推測できるが、この「2013年度の予選認定大会」ではかなり色々なルール*2で開催されているのではっきりとしたことは言えない。
この翌年2014からはSFシリーズのみでの「CapcomCup」の開催と認定やルール整備が今のような形式になったため、Evoだけでなくほとんどの大会はそのルール(top8_3先)に倣うことになるが、予選形式は結構いろいろなケースがある(その大会による)。
アルカプ=3先というイメージが強いが、別に最初からそうなったわけでもない。
Evoでは前述の通りMvC2時代はGFのみ3先ルール
→2011_MvC3(無印)では同じくGFのみ3先
→2012_UMvC3ではtop8_3先で予選は2先
→2013_UMvC3でようやく現行のAll_3先
と変遷している。この年代はいわゆる「公式ルール」を巡る話ではなく純粋に大会運営の話になり、Evo以外の北米大会や運営・プレイヤーの議論の結果こうなっていった。
Evo2012プールのまめスパさんの試合。2先で終わっている。
www.youtube.com
アーク系、鉄拳、KOFなどに定着したFinal3先=Evoルール
Evo2013→2014
https://liquipedia.net/fighters/Evolution_Championship_Series/2013
https://liquipedia.net/fighters/Evolution_Championship_Series/2014
カプゲー以外に関しては「2013年までGF3先」「2014年からFinal3先」ですっぱり分かれており、それ以降ほぼ完全に定着している(例外は大きく変化のあったBBTAG,GGSTの2例。後述。)
これは2013年のカプゲーの変更をうけてなのかはわからないが、ともかくEVO・北米運営側がなんらかの契機でそうしたのだろう。
Final3先ルールはこの後の新しいゲームでもおおむねこれになり、バンナム・アークの公式ルールにも採用されていく。
2014はBBのGF(ガリレオどぐら)が有名だがこのときWF,LFが3先になった最初の年ということになる(WFはどぐら3-0,LFはガリレオ3-2Doraだった)
https://liquipedia.net/fighters/Evolution_Championship_Series/2014/BBCP
www.youtube.com
BBTAG,GGSTの3先への変更過程
・BBTAG
BBTAGは発売前にEvo開催決定され、ほとんどEvo直前の発売。これが従来のBBシリーズとは全く異なるゲームだったためかなり色々あった。
多すぎるので記録リンクなしの一覧にする(記事末尾にリンク集)
2018年6月 All_3先 アメリカCEO
2018年8月 Top8_3先 アメリカEvo
2018年9月 Final_3先 欧州Revo(AWT初戦)
2018年10月 Top8_3先 アジアSEAM(AWT2戦目)
2018年11月 Final_3先 日本公式(ArcrevoJapan)
2019年2月 Final_3先 日本EvoJapan
2019年5月 All_3先 日本KVO*TSB
2019年6月 Top8_3先 日本公式2
2019年8月 All_3先 アメリカEvo
2019年11月 All_3先 アメリカAWT_Final(LCQ含む)
2020年1月 All_3先 日本EvoJapan
以降ほぼAll_3先
2018からの1年間は公式ルール上はそれまでのBB,GGシリーズをならい「Final_3先」だったのだが、攻撃側の激しさやラウンドなしの1ゲーム完結であるとかいろいろな要素から北米ではもっぱら3先で開催されていた。第1回Evoはその折衷案なのかtop8のみ3先。もちろん公式ルールのFinal3方式にする運営もあり、ここから1年間は3種のルールが混在するカオスな状況に。
2019のEvo,AWT_Finalがすべて3先になり(確かAWTルールもこの時期に書き換えと記憶している)、以後ほぼすべての大会・イベントが3先となったと思う。
・GGST
GGSTもBBTAGとおおむね同じような変遷をたどった。こちらは当初は「公式ルールはtop8_3先」だったが、それでもとにかく決着が早かったため北米大会などでは発売直後からすっかりAll3先で定着。コロナでオンラインが主流+GGSTは遠隔地でもオンが成立したため、速攻で「オンラインの3先大会」がシーンの中心になった感がある。
そんな中で最初の1年はやはり公式ルールでも開催されている。
EvoOnline2021
アジアも北米もAWT公式ルールの「予選2先、Top8_3先」
https://www.start.gg/tournament/evo-2021-online-asia-1/event/guilty-gear-strive-asia
https://www.start.gg/tournament/evo-2021-online-north-america-2/event/guilty-gear-strive-na
公式オン大会のGGDO
2021年7月~12月で3回、すべて予選2先・Top8_3先の公式ルール開催。
https://kakuge-checker.com/topic/tag/GUILTY%20GEAR%20DUEL%20ONLINE/
アジア圏の定期オン大会ICFCでも予選2先の公式ルール(同じくアジア圏のCoreA主催でも同様)
https://www.start.gg/tournament/icfc-ggst-asia-season-2-week-8/event/guilty-gear-strive-ps4-ps5/brackets/1008588/1590305
2022年2月開催の「Arcrevo2021JapanKorea」からAll3になった。配信中に出てきた「3先はいいぞ」という発言がちょっと流行ったのがこの時。ここから公式ルールもAll3になったと思われる。
https://www.arcsystemworks.jp/arcrevo/2021/jp/
GBVSRでの現行ルールでのズレ
2024年現在「AWT:GBVSR」が進行中だが、GBVSRに関しては「欧州の一部、ブラジルはtop8_3先,他はFinal_3先」のズレが発生している。公式ルールには(3種のゲーム混合のためか)大会形式に関しては記述なし。 https://www.arcsystemworks.jp/awt2024/
なので、ここは各国の運営がなんとなくそうしているのだろう。欧州大会に遠征した北米勢がちょっと戸惑う場面も。
以下全てAWT予選認定大会
日本大会senzan_Final3 https://tonamel.com/competition/bTPJK
北米Evo_Final3 https://www.start.gg/tournament/evo-2024/event/granblue-fantasy-versus-rising/brackets/1707250/2537207
欧州フランスUFA_top8_3。欧州だとさらに2大会が同形式で開催。 https://www.start.gg/tournament/ultimate-fighting-arena-2024-3/event/granblue-fantasy-versus-rising-arc-world-tour-platinum-ps4/brackets/1747278/2592689
ただ欧州でもフランスMixUpはfinal_3先
https://www.start.gg/tournament/the-mixup-2024-round-6/event/granblue-fantasy-versus-rising-awt-2024-gold-event/brackets/1600874/2394723
ブラジル公認大会_top8_3
https://www.start.gg/tournament/battle-coliseum-2024/details
ちなみに無印GBVSは欧州含めてほとんどFinal3ルールだったので、GBVSRになって欧州運営の一部・ブラジル運営が「top8ぜんぶ3先でよくね?」となったものだと思われる。
他の特殊な例
・SFにおける欧州の独自予選
これ以前にも何度かあるが2018cptで予選グループリーグ(ラウンドロビン)が採用された例。日本GO1,ジョン竹内が遠征参加
https://www.start.gg/tournament/sonic-boom-v/event/street-fighter-v-arcade-edition-singles
・リセットなしGFn先
sfvでの北米eleague(第1回)や鉄拳・キャリバー・MKで開催された招待制イベントWePlayではGFリセットなしの4先・5先で開催。ちなみにGFリセットなし+セット数増加はPC系esportsではまあまあよくある方式。
WePlay https://liquipedia.net/fighters/WePlay_Ultimate_Fighting_League/Season_1
eleague https://liquipedia.net/fighters/ELEAGUE/Street_Fighter_V_Invitational/2017
・GGST4先(top4)
「TheBigLevo」はGGST発売直後にLeffenが主催した大型オン大会。第1回で「Top4は4先」を採用したが第1回のみで以降普通に3先になった。
BigLevo https://www.start.gg/tournament/the-big-levo/details
・アルカプ4先(3-0終了)
アルカプがすっかり定着したあたりから北米においてローカルなオフ大会やアルカプに焦点を絞ったイベントでの採用あり。超大型大会では採用されないが、一つの形式として認識されているっぽい。
2020年reflex https://www.start.gg/tournament/reflex-10k/events
BBTAGリンク
CEO2018(サイド開催)
https://www.start.gg/tournament/ceo-2018-blazblue-side-tournaments/events
Evo2018のpoolsザッピングで2先が確認できる
https://www.youtube.com/watch?v=1fX0zttTsDs&ab_channel=EvoEvents
AWT開始直後は海外でも公式ルール
Revo2018(AWT初戦・欧州)Final3 9月
https://www.start.gg/tournament/revolution-2018/events
アジア大会はtop8_3
SEAM2018 予選2先・top8_3先 10月
https://beastapac.challonge.com/ja/SEAMBBTAGP1
https://beastapac.challonge.com/ja/SEAMBBTAGT8
2018年末の「ArcrevoJapan2018」はルール通りFinal3先
https://challonge.com/ja/tki7ro75
この半年後の認定大会にもなっていた日本EvoJP2019も同様Final3先
https://evo.challonge.com/ja/evojap19bbctb
2019年6月のAWT日本公式大会は予選2先・top8_3先
https://challonge.com/ja/jh4ch8rp
https://challonge.com/ja/p039aig3
2019年5月のKVO*TSB2019 All3
https://www.twitch.tv/videos/422439678
2019末のAWT_finalではAll3(LCQ予選部分も)
https://www.start.gg/tournament/arcrevo-america-2019/events
2020EvoJPではAll3
https://www.start.gg/tournament/evo-japan-2020/event/evo-japan-2020-blazblue-cross-tag-battle/brackets