あるいは「欧州の悲哀」
去年はTop32に6名(CC出場は5名)を輩出した欧州だが、今年は3名にとどまった。(BigBirdを欧州勢カウントするなら4名)
2016年度は「全体におけるランキング大会のポイント比率が高い」「欧州4強(Luffy,Phenom,CCL,M-Crimson)が常に上位独占」*1という要因があり、今年はそれが大きく崩れることになった。大会結果を振り返りながら見ていきたい。
「Fight Club NRW 8」
http://vsbase.net/sfv/tournaments/id/147/
8月にドイツで行われたランキング大会。
欧州のそこまで大きくない大会にウメハラが遠征する(ゲスト招待扱いでやってくる)のは毎年恒例なのでいいとして、この回はあの男がいた。「Everywhere」ことJiewaである。
これまでCPTTop8はないが、直前のEVOで豪鬼を使用、13位と好結果が出ていたJiewaは、欧州勢本命の一人であるPackzにDoubleJeopardy*2を食らわせて2位を獲得。ちなみにJiewaの今年のTop4以上の成績はこの回のみである。
その不憫な結果(強豪でTop8回数は多いがTop3回数が異常に低い)から一部で人気のPackzはまたもや優勝できず。その後も特に変わらず500P前後でシーズンを終えてしまう。Packzどうして…。
「VSFighting 7」
http://vsbase.net/sfv/tournaments/id/151/
8月にイングランドで行われたランキング大会。ほぼ欧州オールスターである。
ここになぜかXianが参加、優勝してしまう。ちなみにXianは前週にはオーストリア・ウィーンでのInjustice2欧州公式大会に出場している(アメリカ勢も多数遠征して優勝はSonicFox、Xianは13位)。この時Xianはすでに900Pは持っていたので、はっきりいって「ついで」としか思えない。
Xianだけが笑顔。ずらりと揃った欧州勢の「なんでお前がいるんだよ…」感がにじみ出る写真になっている。(Capcom公式の写真である)
とはいえ、アジア勢にある程度ポイントを奪われるのは去年も同様。プレミアはもちろん、2016年はMOV3勝、ウメハラXianが1勝でなんとランキング5勝分を奪っている。それでも2016年は欧州勢が上位に来たのだから、いかに「ランキング大会の比率」が高かったのかがうかがえる。
そして、欧州勢の不遇にはもう一つ要因がある。今年から地域で4回開催されたオンラインランキング大会である。
これはAcekingofsuitさんの投稿した画像。東西で分けたんですね、と思うかもしれないがこれ実は「FGC主要国は全部西側」という区分け。北欧の強豪がいるノルウェー・スウェーデンまでも西側。飛び地もあるし謎が多すぎる(多くの国があるところだしそれなりの事情があるのかもしれないが…)。
結局、この「欧州・東側オンライン」はロシア、フィンランド勢くらいしか参加せず、ロシア勢が2大会分のポイントを獲得することになる*3
このような要因が積み重なった結果、今年の欧州勢は遠征勢にも勝つことができたTop3のみのCC出場。4番手以降のM.Crimson、Packzといった面子はポイントを積むことができずシーズンを終えた。ルールとはいえ不憫な話である。
最後に明るい話題として、皆さんご存知のProblemXの躍進を書いておこう。
「Celtic Throwdown 2017」
http://vsbase.net/sfv/tournaments/id/161/
9月にアイルランドで行われたランキング大会。
https://smash.gg/tournament/celtic-throwdown-2017/events/ct2017-sfv-singles-1/brackets/139136
それまでProblemXは「Phenom,Luffyに続く3番手グループ」の一団にいた。前半戦はS1で多かったアレクを捨ててザンギを多用してみたりしていたがその位置は変わらなかった。(EVO手前くらいからベガに固定していたようである)
そのProblemXがTop8でLuffyに2-3で敗北するも、Akainuを3-2、M.Crimsonを3-2、Phenomを3-1、Luffyを3-0リセット、3-2で優勝、という驚異の粘りで優勝をもぎ取った。
この優勝後、翌週のランキングでも優勝、プレミアEGXもアジア勢の遠征を跳ね返してプレミア優勝(S1のPhenom以来の快挙)、さらに欧州決勝でも優勝と、9月に4連続優勝とし、わずか一月で「欧州最強」の座に就くことになる。
過酷なルールのもとCC出場する3人の活躍に期待したい。