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CPTオン2021_1においてウメハラのプールは本当にキツかったのか?(ダブルエリミネーションについて)

過去発言をダシにしてダブルエリミネーション大会のあれこれを解説する文章です。
「多数の日本勢が参加する超大規模オープン・ダブルエリミネーショントーナメント」であるところのEvoが間もなく開催されるので、ここで書いたような事象が起きるかもしれません。
プレイヤー名が膨大になるので敬称略。

もくじ

 

はじめに

元ネタ

この回はウメハラがCPTオン大会において3回戦(第1シードなので2戦目)で負け、そこから長いルーザーズランを決めてtop16通過を果たした回です。
正確には「メンツがおかしい」になります。

該当大会のstartgg。
https://www.start.gg/tournament/capcom-pro-tour-2021-japan-1-1/event/street-fighter-v-champion-edition

はじめに触れておくと、日本cptオンにおけるウメハラはWinnersのままtop8付近までスルっと行くか、プール後半の煮詰まったところで2敗食らって敗退するかのどっちかだった印象があるので、体感として「今までにないキツい予選」だったのは間違いないでしょう。

もしWinnersのまま通過ならこうなります
LasVegas
Jimmy1
Iincho
storm久保
MOV
→top16通過

この5戦で初日予選終了になります。ウメハラの過去実績を考えるとおそらく「プールがきつかった」とは言わないし言われない気がします。

 

実際Losersどうだったのか

さてそれでは実際Losersはどうだったのか見てみましょう。
同大会で同じくらい(9勝or10勝)のルーザーズランをしたふ~ど、Bono、もけの3名をLosersRound6を基準にして並べてみました(右側2名は後述します)

Losers進行比較

どうでしょうか。ぶっちゃけ日本大会ルーザーズはどこもやばいな!ということになるかと思います。個人的にはふ~どルートが相当やばそうに見えます。もけルートは上がった先がウメハラなことも含めてやばいし、Bonoルートも2021を見てきた現在からみるとなおさらすごいルートです。
ただ他と比べてもウメハラルートの「LosersRound5:Higuchi」は明確に「外れ値」と言えるでしょう。お互いなんでLにいるんだ。
また「面子がやばい」ということで反対側にsako,トラボがいた、ということでもあるでしょう。以下リンクでプール詳細が見れます。
https://www.start.gg/tournament/capcom-pro-tour-2021-japan-1-1/event/street-fighter-v-champion-edition/brackets/921058/1467286
もしウメハラがWinnersでもう1回勝ってから負けていたら上ルートではなく下ルートへ行くため
LosersRound6:sako→トラボ→Machabo→(Higuchi含む上側ルートの勝者)→MOV…となっていたわけです。こうなったとしてもHiguchiは回避できても(できない可能性もある)かなりのルートでした。
なおウメハラはいわゆる「プール内第1シード」の位置ですが、これはシード上位者が勝ちあがったら…という想定で組まれているのでLosersに落ちたらもはや意味はありません(途中で勝った人がそのルートに乗れる、ということでもある)

 

pool7(すぴくん、YHC-mochi)の上下ルート比較

詳細リンク
https://www.start.gg/tournament/capcom-pro-tour-2021-japan-1-1/event/street-fighter-v-champion-edition/brackets/921058/1467292

また右側に別プールの2者も加えてみました。
すぴくんはかなり勝ちましたが、1回戦負けからのルーザーズランだったので有名人密度は薄いように見えます。
そしてこのすぴくんの「反対側」ルートから来て当たったのがYHC-mochi側で、キャミイ3連続で当たり全部勝ったやつです。LosersRound7、8なので当然きついところですが、あきら藤村の並びはかなり強烈に見えます。これはつまりこの2人がすぴくん側には行かなかった(落ちていかなかった)、ともいえます。
また仮定の話ですが、ここでいうsousukeの位置(さらにはそこ以下のLosersルート全員)は餅→あきら→藤村→すぴくん→水派、と倒さなければTop16に行けない、ということになったわけです。もちろんすぴくんルートが「楽」なわけでは決してないですが、上下どちらに落ちていくか?というのはほとんど運なわけですね。

 

この「負けたらどちらのルートに落ちるか」というのはRoundごとに変わります。これはなぜかというと「同じ組み合わせでの再戦」を起きにくくするためです。
ダブルエリミネーションは同じ組み合わせの対戦が発生すること自体は避けられないのですが、いろんな人と対戦できた方がいい、キャラ相性人相性だけで決まらない方がいい、W側圧勝だったのにL側でギリギリ負けだと納得性が低い*1…など色々な要因があるためこうなっています。

 

同じ人との再戦について(cptオン2021_4のケース)

再戦の話をしたので、この点ですごかったケースも紹介します。同じく2021の4回目でのSakaguchiの戦績です。

https://www.start.gg/tournament/capcom-pro-tour-2021-japan-4/event/street-fighter-v-champion-edition/brackets/931290/1482435

Sakaguchi 6-2 13th
vision
〇Ryusei
〇Vanao
×Reiketsu
〇Ryusei
〇Vanao
〇Reiketsu
(Top16通過)
×piroshi

なんと同じ3人と間を置かずに2ループ対戦しています。
早期に落としたRyuseiが途中で負けずに泳いできた→Vanaoは逆ルートに落ちるがLosersSemiFinalなのですぐに合流した→自分を倒したReiketsuがすぐ落ちてきた、というのが同時に発生した非常に珍しいケースです。

日本CPTは「プールにつきLosers1人抜け」なのでここまでのことが起こってしまいますが、こういったケースを緩和するために以下のような対策もあります

・1プール3人抜け(W側1人、L側2人)
LosersFinalを行わず、抜けた先でシャッフルした相手と対戦する形式。今年のEvoもこれ。Evoのような大規模大会はさらに2次予選、3次予選と区切ってシャッフルすることによって再戦を避けています。
このケースだと「LF:Reiketsu vs Sakaguchi」を行わず、互いに別のLosers抜けの人との対戦になります。

・1プール4人抜け(W側2人、L側2人)
LFだけでなく、WF、LSFの2試合も行わない形式。
このケースだとTokido,ReiketsuがW抜け、Sakaguchi,VanaoがL抜けとなります。

・プールをでかくする(合体)
このケースだと、隣のプールと合体してLosersが混ざるようにすると、この3連戦は起こらなくなる(Vanaoルートとの「合流」が先になるので)。とはいえ結局LSF,LFで再戦可能性が高いのは何も変わらないので、上記4人抜けシステムにするにあたってプールがでかくなる…という方が正しいかも

 

おわりに

このように、ダブルエリミネーション、特にLosersでは色々なことが起こりうる形式になっています。誰しもわざとLosersに落ちることはしないので、本当に運というしかありません。
また、Losersで勝ち続けるということは試合数が増えるということでもあるので、普段は目にしないすごい勝ち数になることもあります。これに関しては過去にまとめたものがあります。過去のEvoの記録も多いのでよければどうぞ

格ゲー大会での最多勝・最多連勝記録 - setofuumiのblog

今年のEvoは久しぶりの「多数の日本勢が参加する超大規模オープン・ダブルエリミネーショントーナメント」となるので書いてみました。
大会中のLosersは配信外となることが多いですが、こういったことを気にしてトーナメント表を見るだけでもひとつ別の楽しみ方ができるかなと思います。

*1:これはGrandFinalでリセットがないケースと似ています。PCゲーの大会ではそちらがスタンダードだったりはしますが