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ChrisCCHがCC出場するまでの軌跡

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CCH

ChrisCCHはシアトルのあるWA州、いわゆる「北西部」のプレイヤー
今回CPTO北米西でCC権利を取得したので紹介する

 

はじめに
CCHの特徴としてはまず若い(デビュー年15歳でおそらく現在19歳)ことがあるが、それに加えて北西部という地域から出てきたことが特筆すべき点である。
北西部というのは超大都市のシアトルがあり格ゲー対戦会・大会が十分定着している地域ではあるものの、いわゆるCPTプレミア級の超大型大会はなく、世界レベル・全米トップレベルのプレイヤーも比較的少ないローカル地域といえる。そしてそれは大会参加には遠征が必要になり、トッププレイヤーとの対戦はオン前提となる…ということでもある。
そんな地域からCCHがどのように頭角を現し、成長していったのかを振り返ってみたい。
*戦績へのリンクはおもにsmashgg内のCCHの勝敗表にした。bracket全体を見たい場合は左側のSFVの項目からしか行けないので注意。

 

2017年度

SCR2017 13位

CCHが主要な大会で結果を出しデビューしたのは2017年9月のSCR2017(SoCalRegionals)になる。

SoCal Regionals... | Entrant Details

当時からするとCCHは「(地域としてはローカルな)北西部からやってきた15歳の無名のガイル使いの少年」だったわけだが、LosersからSoCal地域の上位陣を次々と破り、さらにトッププロであるところのKbradも破っている。
もう少しでプレミアTop8…というところまで行ったのだがLosers進行のため配信で目立つことはなかった。


NorthWestMajors9 3位
さかのぼるがこの年4月、地元地域の伝統ある大会「NWM(NorthWestMajors)」に参加。ちなみにこれが春版で、秋にはCPT認定された「9.5」も開催された。そちらでは北米内遠征勢が上位をしめ、13位にとどまった。
結果はJibrill(彼もまたアルカプで15歳前後から目立っていたこの地域の天才少年である。たぶん当時17歳)とWFを戦い3位に終わった。この当時地域ではトップのガイル使いになっており、後述するRedbullProvingGroundランバト、そしてSCR2017での活躍と繋がっていく
お互いに若いWF

www.youtube.com


RedbullProvingGround 不参加
https://smash.gg/league/red-bull-proving-grounds-2017-1/standings
https://smash.gg/tournament/red-bull-proving-grounds-fall-season-finals-3/event/red-bull-proving-grounds-fall-season-finals/overview

次の舞台は10月、RB企画の地域対抗戦「RedbullProvingGround」…だったはずなのだが、CCHはシアトルのランキング3位で代表となる権利を持っていたがなんとイベントの年齢規定(15歳以下は不可)にひっかかって不参加ということになった。
なお来年の同形式企画には無事出れた(成績はそこそこ)。
ソース: https://twitter.com/ChrisCCH_/status/917073924608761856



2018年度

NCR:33位
ComboBreaker:49位
活動を少しだけ拡大して春のプレミアに遠征参加するもふるわず。

NWM10 7位

Northwest Major... | Entrant Details
6月開催の地元CPT大会。JwongとCeroBlastに敗れたがこれでオフラインCPT初のTop8入賞ということになる。優勝は遠征のProblemX。

CPTO_NA_west2 7位
7月開催。この時すでにさくらを使用しており、2018はガイルと併用していくことになる。結果はSCRと同じくC.Jesseダルシムに負けて敗退したが、NWMに続くCPTTop8を達成。
ちなみにこの時優勝はNephewなのだが、この時はまだ「本来東地域なのにこの時期だけたまたま西にいたので西で出場」という状況だった。


EVO2018 17位

Evo 2018 | Entrant Details

8月開催。CPTランクポイント的にはこれがキャリアハイとなるEVO_17位を記録することになる。
ナウマン、板ザン、欧州上位のMomiに勝ち
ガチくん、Cabaに負け
予選はガイルだったらしく、さくら・ガイル併用期だったのがうかがえる。かなりの大物食いをしたがEVOだったので配信では目立たず。


SCR2018 25位

SoCal Regionals... | Entrant Details

9月開催。順位は25位だったがプールでふーどに勝ち。なおプールW抜けはC.Jesseで、CCHはまたもや負けている。なおふーど戦も配信なし。
ふーどはC.Jesse,CCHに連敗してまさかのプール敗退ということになった。なおこの年のSCRはCCHだけでなく地元北米西側勢の強豪が日本上位を次々と破る大会になった。


北米決勝オープンプレミア 17位

Red Bull Conque... | Entrant Details

11月開催。LosersでGamerBeeに勝つもネモに負けて敗退。優勝はCJTruth。

CC2018_LCQ 13位

Capcom Cup 2018... | Entrant Details

12月開催。Myers,801といった北米上位には勝ったが同地域のさくら使いFlaquito、そして優勝することになるZJZに負けて敗退となる。またこの大会2位は西側若手のDankadillasだった。

 

2018まで
といった感じでここまでのCCHは対上位プレイヤーとの勝敗の点ではかなりやばい結果を出していたことがわかるが、配信にはあまり映らず、映ったのは地元CPTと西地区オンでギリギリTop8の7位、という結果だった。
ちなみに日本勢に対して好結果だったが一部の「北米西・上位勢」には勝率が悪く「わからされている」感じでもあった。
大会でJesseによく負けていたり、「西オンでSamuraiが強い(つまりCCHなんかが毎回負ける)」というのも2018から続いており、それが2021まで繋がっていくことになる。
2018後期はこれを何とかするためにサブでGを使い始めているが、あまり成功はしていなかったように感じられる(ちなみに「Samuraiに勝てないのでGを使う」選択肢を取ったのはCCHだけでなく数人いる。Samurai豪鬼被害者の会みたいな感じである)


2019年度
そうして迎えた2019年(未来の視点だと北米大会的に"最後のシーズン"ということになる)、結果から言うとCCHはこれまでとほぼ同じ活動範囲で大会にのぞんだが大きくブレイクはできなかった。
とはいえ、地元地域の大会・西側オンではともに昨年までより良い成績を残しており、少しずつ着実に実力を伸ばしていたといえる。
なおこの年はほぼさくらメイン化、そして中盤から使用デバイスをHitBoxへと切り替えている。
以下主なカテゴリごとの戦績

西地域CPTオンライン 4位 

Capcom Pro Tour... | Standings

801、JBに負け 801優勝。前年の7位から順位を上げた。


NWM(地元北西部CPT) 7位

Northwest Major... | Entrant Details

CPTなので北米内遠征多数。Kbrad、PRBalrog、ChrisGとプロ3人を倒すも前年と同じ7位終了。優勝はまたもや801。
この時は対プロだったのもあり配信されまくったらしくこのチャンネルに録画が多数残っている
https://www.youtube.com/c/KhaosGamingTV/videos


Pinnacle(北西部カナダ側ローカル大会) 1位

The Pinnacle 2019 | Entrant Details

地元北西部のお隣のカナダ側での大会。参加人数は小規模ながらJwongなどが遠征参加。CCHはキャリア初の大会優勝をはたした。
優勝の様子(リンク先Clip)

プレミア級大会
NCR 65位
CEO 遠征中止
EVO 97位
CanadaCup 13位
LCQ 97位
この年ではEVO,LCQ含めてそれほどふるわず、低調な結果に。

ただ唯一カナダカップではウメハラを撃破しTop16入り。

www.youtube.com


配信にも乗り、とうとう「メジャーデビュー」を果たしたのであった。またこの前後からHitBoxに乗り換えており(2019年春はまだレバー)、今現在でも使用している。
ちなみにこの年のカナダカップはいつものカナダ東ではなく北西部にほど近いカナダ西部地域で開催されたためCCHは参加しやすかった。プレミアでは低調だった年の最後のプレミアでこの結果を出せたのは運命のあやといった感じがする。

余談
この年6月に日本のクラッシャーさんがシアトルにいったついでにと地元対戦会に参加。CCHと決勝を戦いCCHが勝ったとのこと。

 

 

2020年度

ここでオフライン大会は中止、sfv的にはセス実装。
CCHは2019に切り替えたHitBoxのままセスを使用キャラに追加、そして地域の別れたオンというフラットな環境になったことで「西地域のトッププレイヤー」としてのポジションを確立していくことになる。
具体的には西側カリフォルニアの大型対戦会WNFがオン化、CCHはその上位常連として2021まで活躍を続けている。


CPTO1 13位 (1位:Nephew)
Nephew,Miraに負け13位
ここからNephewが西で活動開始となる

CPTO2 4位 (1位:Samurai)
ルーザーズランで駆け上がるがまさかのSnakeEyes(カゲ)に2回負けての4位

2021年度

3月にUYU所属のいわゆるプロプレイヤーに。なおチームUYUがある北米SFLはKAMIが優先され不参加。

CPTO1 5位 (1位:Nephew)

Capcom Pro Tour... | Entrant Details

順調に勝ち上がるがNephew→Samuraiに負けて5位敗退。やはり壁は厚かった。

IntelWorldOpen 1位
winnersのNephew戦
https://www.twitch.tv/videos/1088578336?t=9h39m10s
GFのNephew戦
https://www.twitch.tv/videos/1089624517?t=9h48m37s
実質地域オンとなったIntel大会、CCHはNephewに対して初日Winnersではリーチをかけながら2-3惜敗、2日目LosersのGFで3-1,3-2で逆転優勝、西地域規模とはいえついにビッグタイトルの獲得となる。
数年間勝てなかったNephewにようやく勝利した瞬間であった(というかNephewが西側でほぼ負けていないのでNephewの連勝が止まった、という方が正しい)

Evoオン 4位 (1位:Nephew)

EVO 2021 ONLINE... | Overview

Nephew,iquitaに負け。こちらはNephewがルーザーズラン(12-1)で圧倒的優勝。CCHは道中で2-0からの逆3タテを食らって撃沈。やはり強かった。

CPTO2 2位・CC権利獲得 (1位:Nephew)

Capcom Pro Tour... | Entrant Details

そして迎えたCPTO2回目、ラストチャンス。
CCHはFlaquitoローズに敗れルーザーズへ送られるもその後のルーザーズランでリベンジ、CPTO1で勝てなかったSamuraiにはV2セスを投入(1の時はV1)で勝利、そしてやはりGFはNephew、いろいろあってリセットした後はやはり接戦になり、フルセットの結果2-3でNephew優勝となった。
やはりNephewに勝てずCPT優勝はお預けになったが、これでCC出場権利を取得。Nephewと並びこれまで勝てなかったSamuraiを克服しての実績獲得となった。

この翌週のCPTOでは2位にも関わらず彼のインタビューが配信された。
字幕による自動翻訳での理解だが、Faquitoとのこと(2018LCQで負けている)、コロナ下での環境、西海岸とそこにおけるNephewとSamuraiのポジション、といったことが語られていてとてもよいインタビューだった。

www.youtube.com


おわりに
以上がCCHの5年間の活動実績となる。
個人的にCCHからはオンラインで成長しのし上がってゆくという新しい部分と、若者が地元コミュニティに面倒を見られ成長していくという古風な部分の両方を感じていて、その両方を兼ね備えた稀有なプレイヤーであると言えると思う。
来年のCC、そしてUYU所属になったことによる2022年度の活躍を期待したい。

なおインタビューで語られていたようにNephew、Samuraiの次の西海岸3番目のプレイヤーであることは彼自信も認識しているところであり、この力関係がどうなっていくのかも楽しみな所である。
そしてさっそく今週開催されるRedbullKUMITEではその3人とも本戦招待はされなかったので、恐らくLCQを戦うことになるだろう。LCQを勝ち抜いて本線で活躍すればCCデビューより一足先にグローバルなプレイヤーとなれるが、はたしてどうなるのか。